近年、様々な無機材料合成が開発されています。その中で、ソルボサーマル法は液体を媒体とする加熱反応を意味しており、本来は水熱合成法や、無機系の媒体中の反応も含まれます。当研究室では有機溶媒を用いるソルボサーマル反応を行っており、特にグリコールを溶媒として用いる場合をグリコサーマル法と名付けて研究を続けてきています。

オートクレーブ(autoclave):英和辞典で調べると『圧力がま』を意味します。つまり、容器内部を高温高圧下にすることができる装置です。この容器の中に、出発物質(金属アルコキシドや金属酢酸塩など)と有機溶媒を加えて加熱することで様々な化合物が合成できます。(→右図)



希土類金属のソルボサーマル酸化による超微結晶希土類酸化物の合成:希土類金属を2-メトキシエタノール中で反応させると、粒径2-3 nmのセリア、サマリアやイッテルビアの粒子を含むコロイド溶液が生成することを見出しています。


ソルボサーマル反応による希土類酸化物の形態制御
:アミン共存下1,4-ブタンジオール中で希土類塩化物の反応を検討し、イオン半径の大きな希土類元素では希土類塩化物水酸化物のみが生成するのに対し、イオン半径の小さな希土類元素では希土類の水和酸化物と塩化物水酸化物の混合物が生成し、希土類元素のイオン半径によりこれらの生成比が異なることを見出しています。後者は、反応条件より、針状の形態(幅0.2-0.6 μm、長さ5-15 μm)を持ち、加熱により容易に希土類酸化物に変化します。このとき生成物の形態を維持して酸化物となるため、針状の希土類酸化物が得られます。


グリコサーマル反応により得られる希土類ガーネットの欠陥構造
:希土類酢酸塩とアルミニウムアルコキシドを1,4-ブタンジオール中250-300 ºCで反応すると希土類アルミニウムガーネットが直接得られます。固相法や沈澱法では800 ºC以上の熱処理が必要ですが、グリコサーマル法はそれらの方法に比べ非常に温和な条件で希土類ガーネットが合成可能です。この反応の律速段階は結晶核の発生で、結晶成長は極めて早く進行します。このため、欠陥を多く含む結晶が得られると予想され、実際、生成したガーネットの欠陥構造を詳細に評価し、常法では得られない欠陥構造を持っていることを見出しています。


金属ガリウムのソルボサーマル酸化と生成物の細孔制御
:金属ガリウムを各種アルコール中で酸化すると、常法では得られない結晶構造のよく発達したγ-Ga2O3が得られます。結晶化機構と、形態制御機構を検討しています。

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ソルボサーマル反応に関する研究

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